【2017年6月18日更新】
かるび(@karub_imalive)です。
4月28日にリリースされた映画「ワイルド・スピード ICE BREAK」を見てきました。人気キャラクターのブライアンを演じていたポール・ウォーカー亡き後、その真価を問われた正念場の第8作は、ファミリーの絆を試す新展開が待っていました!
早速ですが、映画を見てきた感想やレビュー、あらすじ等の詳しい解説を書いてみたいと思います。
※本エントリは、ほぼ全編にわたってストーリー核心部分にかかわるネタバレ記述が含まれますので、何卒ご了承下さい。
- 1.映画「ワイルド・スピード ICEBREAK」の基本情報
- 3.結末までのあらすじ紹介(※ネタバレ注)
- 4.ストーリーの感想や評価(※ネタバレ注)
- 5.伏線や設定などの考察・解説
- 6.まとめ
- 7.映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など
1.映画「ワイルド・スピード ICEBREAK」の基本情報
<映画「ワイルドスピードICEBREAK」予告動画>
※下記画像をクリックすると動画がスタートします
【監督】F・ゲイリー・グレイ(「追憶の森」「ストレイト・アウタ・コンプトン」)
【配給】東宝東和
【時間】136分
前作まで監督を務めた中国系のジェームズ・ワンに代わり、今作から監督を務めたのは、「ストレイト・アウタ・コンプトン」が日本でもスマッシュ・ヒットしたF・ゲイリー・グレイ。「黒人」映画監督としては、世界最高興収記録を保持するグレイ監督。今作でさらにその実績を伸ばすことになりました。
F・ゲイリー・グレイ監督
(引用:http://www.imdb.com/name/nm0336620/)
2.映画「ワイルドスピード ICEBREAK」の 主要登場人物とキャスト
2009年の第4作でヴィン・ディーゼルがシリーズに復帰して以降、毎作のようにキャスト陣に少しずつ新陳代謝が進められる本シリーズ。今作ではジェイソン・ステイサムやスコット・イーストウッドなど新キャラがファミリーへと加入。前作撮影中に事故死したポール・ウォーカーの穴をしっかりと埋めています。
ドミニク(ヴィン・ディーゼル)
「トリプルX」のザンダー・ケイジ然り、何を演じても結局「ヴィン・ディーゼル」になってしまう、いわゆる「キムタク」タイプの俳優だと思っていたのですが、今作で少し俳優としてのポテンシャルが広がった感じ。「敵」側のメンバーとして演じた暗く冷たい表情が新鮮でした。
ホブス(ドウェイン・ジョンソン)
初登場時は、ドミニクと対立する「政府側」のメンバーとして出てきましたが、今作では、父親としての新たな一面を見せるとともに、本職のWWEプロレスラー「The Rock」に近い、アウトローでワイルドな面が前面に出てきたドウェイン・ジョンソン。「モアナと伝説の海」マウイ役での声の演技といい、見た目の無骨さに比べると、意外にこの人は引き出しが多いですね。
デッカード(ジェイソン・ステイサム)
個人的には今作のMVPでした。後半クライマックスでの緩急をつけた演技は絶妙。ママに頭が上がらないイタリアマフィアみたいな設定や、赤ちゃんをあやすコミカルな演技など、キャラクターの新たな一面を魅せてくれました。しかしその分、前作までのシリアスなヴィラン設定はどこへ!!(笑)チームの皆は東京でハンを殺された恨みはどうでもいいのか?!
ミスター・ノーバディ(カート・ラッセル)
前作で唐突に登場して以来、今作では確実に存在感を増したミスター・ノーバディ。今後のスピンオフ展開もにらみ、アベンジャーズでのサミュエル・L・ジャクソン扮する秘密組織の長官的な立ち位置になっていくんでしょうか?ラストシーンのお祈りでもちゃっかり席に着いてたし・・・
サイファー(シャーリーズ・セロン)
本シリーズで、制作側が何年も前から三顧の礼で出演交渉を重ねてきたそうです。2003年「モンスター」でアカデミー賞主演女優賞を獲得してからも、「マッドマックス怒りのデスロード」や「スノーホワイト」シリーズなどの話題作からアニメでの声の出演、単館系まで幅広く手がける本格派。41歳にはとても見えない、驚異的な若さに驚きました!
レティ(ミシェル・ロドリゲス)
個人的にはどちらかというと「バイオハザード」(第1作、第5作)での個性的(だけどゾンビ的な気持ち悪さもしっかりある)な役割のイメージが強いのですが、いずれにしてもこの人は戦闘シーンが本当に似合いますね。今作では、心変わりした(かに見える)ドミニクを最後まで信じ抜く重要な役柄を演じています。熱演でした。
ローマン(タイリース・ギブソン)
シリーズ2作目で一旦降板したドミニクの代役として参加した際は、3枚目過ぎて約不足だなぁと思っていましたが、逆に脇を固める存在に回ると確かな存在感を発揮しますね。「軽さ」を感じさせる陽気な黒人キャラとして5作目からは不動のサブキャラになりましたが、今作ではテズとの軽妙なやり取りがさらにキャラクターの新たな魅力を引き出しています。
テズ(クリス・リュダクリス・ブリッジズ)
2作目ではマイアミのストリート・レースを取り仕切るボス的な役割で出たと思ったら、5作目で再登場した際は控えめでメカに強いオタク青年キャラへと変貌。さらに前作あたりからかなり口数も増えて、胸板や腕の筋肉も(みせないけど)ムキムキになってきたような。映画で見るたびに少しずつキャラが変わっていくのが面白いです。
ラムジー(ナタリー・エマニュエル)
前作後半から、敵方からドミニクファミリーに移籍してきた天才ITエンジニア。今作では髪型もアフロに変わり、「ユーロミッション」で死亡したジゼルの代わりにしっかり個性を確立してチームに馴染んでいました。今後も愛されるキャラになりそう。
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3.結末までのあらすじ紹介(※ネタバレ注)
キューバでのハネムーンとマイルレース
数々の戦いを経て、ようやく平和な日々を取り戻したドミニクとレティは、ハネムーンとしてキューバで安息の日々を過ごしていた。ハネムーン中も、車好きの二人は地元のストリートレース会場を楽しんでした。キューバには他の国で見られないようなクラシックカーが街に溢れていた。
レース会場で、彼は親戚のフェルナンドがラルドという男とトラブルになっているところへ出くわす。トラブルを解決するため、ドミニクはラルドとお互いの車を賭けてフェルナンドのマイルレースを戦った。
ラルドの仕掛けたワナや不慣れな地の利もあったが、ドミニクはブライアン譲りのドライブで何とかラルドに勝利する。勝負が終わり、ラルドとドミニクの間には確かな友情が生まれた。
新たな敵、サイファーの登場とドミニクの裏切り
別の日、ドミニクは街を歩いていた時、サイファーという女と出会う。出会いは偶然ではなく、仕掛けられたものだった。そして、サイファーはドミニクにはある携帯電話の画像を見せて、部下になれとドミニクに脅したのだった。
その頃、ホブスにも新たな任務の依頼が飛び込んできていた。大量破壊兵器として扱われているEMP(電磁パルス兵器)がベルリンの反体制派の武闘派組織に奪われたので、それを奪い返して欲しい、という依頼だった。ちょうどその時彼は地元で、実の娘も所属するサッカーチームの指導をしていた。寂しがる娘を見て心が痛みつつも、ホブスは作戦遂行にあたり、ドミニクたちのチームの力を借りてベルリンへと飛んだ。
作戦遂行当日、ドミニクはレティ、ローマン、ラムジー、テズら、ファミリーのメンバーを連れて、ホブスと合流した。そしてドミニク達は無事に反体制派からEMPを奪い返し、追いすがってきた反体制派の高速車を巨大な鉄球で破壊すると、ミッションは終わったかのように見えた。
<ワイルド・スピード”鉄球爆弾投下シーン”>
※下記画像をクリックすると動画がスタートします
しかし、ミッション終了時にドミニクはホブスの車を横転させ、EMPを奪ってサイファーの自家用ジェット機へと合流し、一人逃走してしまった。そして、任務に失敗し、車に残されたホブスはそのまま逮捕されてしまった。
デッカードのチームへの合流
ホブスは、前回のミッションで投獄したデッカード・ショウが服役する極悪犯の収容所へと収監された。収監される前、ミスター・ノーバディと、その部下、リトル・ノーバディは、「我々と仕事をするなら釈放する」と告げたが、リトル・ノーバディが娘の誘拐をちらつかせたため、ホブスは怒ってそのまま収監されることを選んだ。
しかし、ミスター・ノーバディの手引により、ホブスとデッカード・ショウは収容所での乱闘に巻き込まれ、その流れで超法規的に収容所を出て作戦に参加することになった。
ホブスとデッカード・ショウは、ミスター・ノーバディの作戦司令室へと向かい、すでに集められていたレティたちと合流して、そこでサイファーとサイファーの計画についての説明と、サイファーのグループにドミニクが加わっているという事実を告げられた。
デッカードは、すでにサイファーのことをよく知っていた。過去に弟、オーウェンが軍から「ナイトシェード」を奪おうとした時や、彼自身がラムジーの開発した神の目(ゴッドアイ)を奪おうとした時、その依頼元はサイファーだったのだ。一時期オーウェンと共に行動したことがあるレティも、サイファーの部下、ローズには見覚えがあった。
サイファーの急襲
サイファーは、レーダー検知をかいくぐって、世界中をステルス戦闘機で移動してまわっているのだという。そこで、ローマンの提案で、その場で「神の目」を使ってサイファーとドミニクの居場所を探ることになったが、検索結果から逆探知して更に調べた結果、彼らが今いるビルにいることがわかった。
と、その時、ちょうどサイファーとドミニクが爆発音とともに司令室へと乱入してきた。脳震盪グレネード弾でホブスたちを動けなくした上で、サイファーは悠々と「神の目」のチップを取り出して出ていった。こうして、サイファーはドミニクを使ってEMPと「神の目」の2つを悠々と手に入れたのだった。
ドミニクがサイファーに従っていたのは、一時期親密な関係にあったエレナとドミニクとの間に生まれていた息子、マルコスがサイファーに人質に取られていたからだった。ドミニクは、機を見てサイファーやその部下、ローズを簡単に襲撃することもできたが、その代わりエレナと息子を殺されてしまう恐れがあったため、事実上何もできないのだった。
ニューヨークでのアクション・バトル
サイファーの次の作戦は、ニューヨークに滞在中のロシア大使を襲撃し、核ミサイルの発射用暗号が入ったスーツケースを奪うことだった。サイファーは、機上で奪取したばかりの「神の目」を使い指揮を取り、ドミニクが実行犯として地上に降りた。
ドミニクはこの機を逃さず、カメラの死角に入ると、車を降りて短時間のうちにオーウェンとデッカードの母、マグダレーナ・ショウを訪ねていた。マグダレーナは、息子達の敵であることは承知で、ドミニクと面会したのだった。
サイファーに気づかれずに車に戻ると、ドミニクは作戦を開始した。サイファーは、地上で走行中や駐車中の車両を次々にハッキングし、自動運転を乗っ取ってロシア大使の乗るリムジンを足止めすると、ドミニクはロシア大使から核ミサイルの入ったスーツケースを成功裏に奪いだした。
ドミニクを追ったホブス達はドミニクに追いつくと、ドミニクの逃走を阻もうとした。カーチェイスの結果、5台がかりでドミニクの車を一旦捕まえることに成功したが、馬力の違いからドミニクを取り逃がしてしまうのだった。
逃げるドミニクに対して、デッカードが立ちはだかったが、ドミニクはあっさりデッカードを撃ち殺して逃げていった。さらにその後レティが走って逃げるドミニクに路地裏で追いつき、対峙したが、その時ローズがやってきてレティを殺そうとした、ドミニク、レティ、ローズと3つどもえで暫くにらみ合い、そしてドミニクはローズと共にサイファーの元へと戻っていった。
作戦がスムーズに成功しなかったこと、レティを守ってローズを脅したことから、サイファーはローズにエレナを射殺させた。そして、ドミニクはそれをただ見ているしかなかった。
そして、極寒の地ロシアへ
サイファーの最後のミッションは、ロシアの原子力潜水艦の強奪だった。サイファーは、手に入れた原子力潜水艦に格納された核ミサイルを各大国へと撃ち込み、世界を支配する野望を持っていたのだ。最近、武装反乱勢力に乗っ取られ、ロシア政府も手をだせなくなっていた極東の軍事基地、ウラドビンを襲撃する計画を立てていた。
これを察知したホブス達チームも、ミスター・ノーバティが用意した戦闘高速車両を準備し、サイファーたちを迎え撃つことになった。
ドミニクは、ベルリンで手に入れたEMPを効果的に使い、電子制御で動作する兵器の索敵・防御機能を奪い、サイファーの潜水艦へのハッキングを成功させた。ラムジーもハッキングし返したが、サイファーとのハッキング合戦に敗れ、結局潜水艦を奪うことはできなかった。しかし、同時にデッカードとオーウェンのショウ兄弟が、サイファーの乗るスーパージェットへ侵入することに成功していた。
ドミニクは、デッカードの母、マグダレーナに直接デッカード兄弟の助力を要請し、デッカードは頭が上がらない母からの指示に従い、弟オーウェンを連れてサイファーの自家用ジェットを襲撃し、ドミニクの息子の救出に向かったのだった。デッカードが撃たれたのはフェイクで、かつてのドミニクのファミリー、レオとサントスが倒れた(かに見えた)デッカードをすぐに回収したのだった。また、ハネムーン中にキューバで新たに友人となったラルドがニューヨークでのドミニクとマグダレーナの面会をアレンジしていたのだった。
デッカードとオーウェンは、機内の敵を次々と倒していった。オーウェンは操縦室を占拠し、デッカードはドミニクの息子を救出した。ドミニクは、それを知ると、サイファーの指示でドミニクの監視役としてつけていたローズを倒した。そして、サイファーにもう従わない、と宣言した。
一方、ホブス達も潜水艦の中へと入り込み、潜水艦の中の核兵器発射装置のチップを抜くことで遠隔操作での発射を防ごうとしていた。彼らは、ロシアの反乱軍部隊を倒しながら何とか司令室への侵入に成功すると、サイファーが核ボタンを押して、ミサイルが発射されるわずか0.6秒前にチップを抜き取ることに成功したのだった。
最後の氷河チェイス
<ワイルド・スピード”氷河チェイスシーン”>
※下記画像をクリックすると動画がスタートします
チップを抜き取り、潜水艦の核兵器発射装置の無力化に成功したホブス達は、基地の外へと用意した高速戦闘車両へ一斉に逃げ出した。すると、ホブス達の侵入に気づいた反乱軍の地上部隊が追いすがってきた。さらに、その後ろから潜水艦のコントロールを奪ったサイファーが追いかけてきた。
逃走中、ローマンの乗った車が水没したり、潜水艦から打ち込まれた魚雷と格闘したり危機の連続だったが、サイファーが潜水艦から打ち込んだ熱感知ミサイルに対して、ドミニクがひきつけ、潜水艦自らに当たるように誘導した。熱感知ミサイルが潜水艦にヒットした時、ドミニクは避けきれず、炎と防風に焼かれる前に、ドミニクの仲間たちの車が戻ってきて、ドミニクを守ったのだった。
エピローグ~新たなファミリー~
一方、機上を制圧したオーウェン、デッカード兄弟はサイファーを追い詰めていた。サイファーは、デッカードに捕まる寸前に、一人パラシュートで機内から脱出し、その後はギリシャへと逃げていった。
こうして、サイファーの計画を阻止することに成功したドミニク達は、いつものように事件終了後、ニューヨークのビルの屋上でパーティを開いていた。また、新たにファミリーにデッカードも迎え入れられることになった。ドミニクは、息子のファーストネームに「ブライアン」と名付け、そして全員で食事を取るのだった。
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4.ストーリーの感想や評価(※ネタバレ注)
ド派手なカーアクションは今作も納得の完成度!
ワイルドスピードシリーズの一番の醍醐味は、なんといってもカーアクションですよね。高級車からスポーツカーまで、あらゆる車が派手にぶつかりあったり、空を飛んだり、いつも新作が出るたび、斬新なアクションで驚かせてくれます。(しかも、作品を追うごとにスケールアップしていっているし!)
前作では高層ビルを突き抜け、空を飛ばすなど、奇想天外すぎるアクションシーンが最高でしたが、今作でも観客の度肝を抜く演出が待っていました。
異種格闘技戦のような潜水艦とのカーチェイス、鉄球で車を押しつぶす冒頭のシーン、街中での自動運転車の大暴走など、よくもまぁネタが尽きないものです・・・。
ネットでたまたま携帯で撮影現場に遭遇して動画を取っていた人がYoutubeにアップしていたものを見つけたのですが、CGじゃなくて、本当にやってるんですね!
しかし、その分ストーリーにしわ寄せが・・・
このように、無理矢理にでも車を絡ませたド派手なアクションシーンについては毎回文句なしなんですが、その分ストーリーが犠牲になってきています。先にアクションシーンありきで脚本を組み立てている(はず)ため、強引なご都合主義的展開がちょっと目立ってきているような気がします。
特に、ここ数作ではハッキング合戦がエスカレートし、敵味方ともその技術レベルは現実感ゼロ(笑)「神の目」を初め、ちょっと安易すぎるんじゃないの?っていうほど安直になんでも瞬時にハッキングできちゃうのは、現実感がなさすぎて笑うしかありません(笑)
ただ、普通バカバカしくて思いつかないような奇想天外なカーアクションシーンに、湯水のように予算を投入してド迫力で見せてくれるので、「まぁストーリーとか、一部チープなセットとかは仕方ないよね」と半分力技で納得させられるような感じなんですよね。そういう意味で、本シリーズは「超B級娯楽大作映画」なんだと割り切って見ていただくのが精神衛生上も良いと思います(笑)
近未来SFストーリーとして見れば楽しめる?!
元々、純粋なクルマいじりから始まったアナログ的な本作でしたが、前々作「ユーロミッション」あたりから、急速にITが絡んだサイバー犯罪サスペンス要素が強まってきました。今作は、最近のアニメ映画「ひるね姫」でも取り上げられた「自動運転」に着想を得た大規模なカーアクションが見どころです。
路上にあふれるハッキングした自動運転車の群れ!
しかしそこはやり過ぎ演出なワイルドスピード!前作から出てきた、世の中のあらゆるネットワーク情報を瞬時に操れる「神の目」だったり、エンジンが停止している車も含めて、何十台も遠隔操作で完璧に車両を操作したり、クライマックスでは潜水艦をハッキングして操るなど、物語の前提として、明らかに現実離れした、ある意味「未来的な」仕組みが平然と導入されています。
これを「どうやって実現するの?」とか野暮なことを言い始めたら、キリがありません。僕も最初は気になっていたのですが、ある時から「そうか、このお話は近未来のSFものなんだ!」と考えるようにしたら、すんなり受け入れられるようになりました。着想は面白いし、案外10年、20年後に見返したら、「時代を先取りしたテーマだったね」と再評価されているのかもしれません。
SF/ファンタジー色が強まった分、コメディ要素の強化が生きた
もはや各種設定やアクションシーンが現実離れしすぎて、一種近未来SF的な趣向もある今作。だからこそ、シリアスになりすぎず、前作よりも大幅に強化されたコメディ色に好感が持てました。
物語を通してお互いの共通項を見出し、口の悪い相棒となったホブズとデッカード、息が合ってきたローマンとテズの軽妙なやりとりに加え、機上でシリアスな戦闘をしつつ赤ちゃんをあやすデッカード、リトル・ノーバディの天然キャラなど、笑えるポイントが本当に増えました。物語の矛盾点やご都合主義的な進行にいらっとする前に、さらっと笑わせてくれる展開は良かったと思います。
しかし、案外ぶれていない作品のコンセプト
「ワイルドスピード」シリーズは、シリーズを重ねるに従って、「ファミリー」という上位概念を中心に、大切に育てられてきたいくつかのキーコンセプトがあります。本作では初めて「ファミリー」が崩れるところが新味として描かれますが、監督やジャンルが変わって来ていても意外なほど作品の骨格はぶれていませんでした。たとえば、こんなところ。
★大切にされている基本的なコンセプト
・エキゾチックな西洋以外の舞台が撮影地として選ばれる
→今作の撮影地は、なんとキューバ!ハリウッド作品がキューバでロケをするなんて滅多にないことです。
・「原点」であるストリートカーレースのシーンが描かれる。
→今作では、キューバの市街地ど真ん中でマイルレースが行われました。
・ファミリーに毎回1~2名ずつフレッシュな新キャラが加入する。
・そして、前作の敵キャラがファミリーに加わる。
→今作ではまさかのデッカードがチーム入り!倒した敵が次々悟空のファミリーに加わっていくように、まさにドラゴンボール的な「昨日の敵は今日の友」展開は今作でも健在!
・過去作品のキャラクターをリスペクトし、思わぬ形で再登場させる。
→今作も懐かしいキャラが再登場していました。
過去作で、作品の個性を形作り、評価を得てきたポイントはしっかり押さえた上で、新しいストーリーや新キャラを登場させるそのバランス感覚は、見ていて非常に安心できました。
5.伏線や設定などの考察・解説
作品数を重ねてきた超大作シリーズということで、ストーリーは単純ながら作品内での情報量は詰め込まれていて、コアなファンにリピートさせる様々な工夫が施されています。そこで、サラッと見た時に取りこぼしがちな伏線や設定などをまとめてみました。
映画冒頭でホブスと子供達がやっていた踊りは「ハカ」
ホブスが最初に登場するシーンで、彼は子供の女子サッカーチームの監督を務めていましたが、試合前に変わった踊りを披露して相手チームを威嚇していました。これは、ラグビー等でニュージーランドの「オールブラックス」が試合前によくやっている「ハカ」というマオリ族に伝わる民族舞踊です。
いかにもマッチョなホブスらしい逸話でしたが、同時にこれはディズニーアニメ映画「モアナと伝説の海」でマウイというオセアニア先住民の半神半人を演じたドウェイン・ジョンソンへのオマージュでもありました。
なぜサイファーはドミニクを脅してまで部下にしたのか?
サイバーテロリストとして世界の支配を目論むサイファーは、過去にショウ兄弟を雇い、それぞれオーウェンには軍の通信網を24時間遮断する特殊装置「ナイトシェード」作成のためのパーツ収集を、デッカードにはラムジーの開発した「神の目」を奪うように指示しましたが、両方ともドミニクと仲間たちに阻まれました。(そういう意味で、見えてないけど「ユーロミッション」「スカイミッション」も真のラスボスはサイファーだったということですね)
それならば、直接ドミニクを脅して支配下に置いたほうが「論理的」であると考えたサイファーは、ドミニクを部下にすることを決意したのです。
「神の目」(ゴッドアイ)とは何か?
インターネットを介して、ネット上に接続された世界中のあらゆるカメラ装置を遠隔操作して目的の人物を追跡監視できるシステム。在野の天才ハッカー、ラムジーにより独自に開発され、前作「スカイミッション」では彼女と彼女の作った「神の目」を巡って、ドミニク達とデッカードが争いました。ちなみに、現実的には今の技術レベルではまったく実現不可だと言われています(笑)
ニューヨークでドミニクを助けたメンバーは誰なの?
ドミニクを監視する「神の目」の死角を全て防ぎ、ドミニクのためにショウ兄弟の母、マグダレーンとの面会をアシストしたのは、キューバでマイルレースを共に戦ったラルドでした。ドミニクは、人質になっているドミニクの息子を、ショウ兄弟に救出してもらえないか、彼らの母親のマグダレーンに直談判したのでした。
マグダレーンに頭の上がらないデッカードは、母の指示通り弟、オーウェンを連れてドミニクの息子の救出へ向かいます。そして、ドミニクが外して息子の監禁部屋に掛けておいたネックレス内に仕込んだ発振器を手がかりに、サイファーのジェット機を探し出し、急襲したのでした。
この任務に就くため、一旦デッカードはドミニクに撃たれて「死んだ」フリをしなければなりませんでしたが、その際に倒れたデッカードを搬出したのは、4作目冒頭でドミニクと一緒に強盗の仲間だった、レオとサントスでした。
続編製作やスピンオフの情報が?
ブライアン・オコナー役のポール・ウォーカーが不慮の死を遂げ、前作「ワイルド・スピード SKY MISSION」がキリの良い終わり方をしただけに、当初は今作を含む続編製作の機運はそれほど高くなかったようです。しかし、前作が1500億ドルを超える超メガヒットを記録したため、ビジネス上の強い要請もあって8作目以降の製作続行が決定しました。
Twitterでは早くも「9」のポスター画像が!
(引用:https://pbs.twimg.com/media/C-I0LIzXkAInKkX.jpg)
今作、エンディングでシャーリーズ・セロン扮するサイファーはギリシャへと逃げ込んで再起を図っているとミスター・ノーバディがラストで言っていましたが、「ワイルドスピード」シリーズは、サイファーとの対決を描く今作からスタートする3部作を2021年までに予定しています。
時系列での公開予定
2017年4月29日:ワイルドスピード・アイスブレイク
2019年4月19日:ワイルドスピード9(日本での仮題)
2021年4月2日:ワイルドスピード10(日本での仮題)
さらに、ドウェイン・ジョンソン扮する外交保安部に復帰(するであろう)ホブスと、今作でホブスのよきライバル&相棒的な存在となったジェイソン・ステイサム扮するデッカード・ショウのスピンオフ企画も進行中とのこと。
時系列的には、ワイルドスピード10でサイファーとの対決が最終決着がするまでの期間に起こったサイドストーリーという位置づけになるようです。続報が楽しみですね。
6.まとめ
細かいところを突っ込みだすとケチはいくらでもつく作品ですが、クオリティの高い派手なアクションをポップコーンを安心してゆっくり食べながら見るにはぴったりな作品。ポール・ウォーカーへ捧げるオマージュ的シーンも満載ですし、長年のファンには見逃せない作品になっています!
それではまた。
かるび
7.映画をより楽しむためのおすすめ関連映画・書籍など
映画「ワイルド・スピード8」オリジナルサウンドトラック
いつもノリノリの良曲揃いで定評のあるワイルド・スピードシリーズのオリジナルサウンドトラックですが、今回Amazonで購入すると、車用のステッカーがAmazon限定付録としてついてきます!(といっても僕は車に貼る勇気はなかったので、パソコンに貼りましたが/笑)Amazon限定版は限定生産のようなのでお急ぎください!
ワイルド・スピード ヘプタロジーBlu-ray SET
ワイルド・スピードシリーズの過去7部作が全てまとめられ、メイキングシーンを収録した全8枚組823分を収録したコスパの良い1枚。手元に全部置いておきたい!という人は、1枚ずつ買うよりもこの「ヘプタロジー」を購入するほうが割安ですね。
「ワイルド・スピードICE BREAK」のAmazon特設ページが!
また、その他グッズについて、現在Amazonにて「ワイルド・スピード アイスブレイク」公開を記念した特設ページができています。こちらではDVD以外にもミニカーや関連するカーパーツなど様々なグッズが用意されていました。こんな売り物もあるのか!と思わず唸ってしまいました。面白いので、是非チェックしてみてくださいね。
過去のワイルド・スピードシリーズは、まとめてU-NEXTで!
ワイルド・スピードシリーズを一気に楽しむには、ビデオ・オンデマンドが一番時間をお金を節約できるベストなサービスだと思います。
現在、僕はU-NEXT、Hulu、AmazonPrimeとオンデマンドサービスに3社加入しているのですが、過去作品はU-NEXTでまとめてチェックすることが出来ます。
★最初の31日間は無料!
見放題以外の有料作品も、毎月自動的に付与される1000ポイントを使えば、3本まで無料で見れるようになっています。また、国内最大120,000点の品揃えは映画ファンにはたまりません!
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