【2016年7月22日更新】
かるび(@karub_imalive)です。
今日は、ビジネス本の書評を書いてみたいと思います。取り上げるのは、現在売れっ子のビジネス書作家、赤羽雄二「ゼロ秒思考」。2013年末に出版されてじわじわ売れ続けているベストセラーです。先日、出荷ベースで15万部を突破したそうで、ビジネス本ではかなりの大ヒットですね。続編となるシリーズもかなり出ているようです。ではさっそく見てみましょう。
- 1.著者はこんな人
- 2.ゼロ秒思考とは
- 3.ゼロ秒思考のすごい効果
- 4.ゼロ秒思考の弱点と改良ポイントとは・・・
- 5、カスタマイズしたやり方
- 6.おすすめの応用法
- 7、他の人のエントリも参考になります
1.著者はこんな人
表紙にサブタイトルと一緒に、「マッキンゼーで14年間活躍した著者の独自メソッド」と書かれている通り、著者オリジナルの手法です。今は、マッキンゼーを退社し独立して、著述業や講演など活躍の幅を広げています。この「ゼロ秒思考」は著者が前々職のシステム会社からマッキンゼーに移籍してから、必要に迫られて自ら考案したそうです。マッキンゼーで要求される業務水準、スピードに追い付くために必死で考えた手法だったとのこと。
では、つぎにいよいよその「ゼロ秒思考」について見ていきます。
2.ゼロ秒思考とは
驚いたことに、というか潔いというか、書籍冒頭の「はじめに」で一番大事なことが書いてありました。本屋で立ち読みしたら5分で終了する位置です(笑)
著者の言うゼロ秒思考とは、一言で言うと、
「考えを深め、心を整理する効果的な方法」
のことであり、具体的にはこんなメソッドです。
たったこれだけのようです。滅茶苦茶シンプルですね。
もう少し詳細に書いてみます。
①頭に浮かぶことを次々とメモに書く
仕事の悩み、キャリアプラン、心のもやもや、恋愛の悩み、将来の不安、などどんなことでもいいので、テーマを決めてガンガンメモに書いていきます。思いつくまま、書いていくっていうのがカギです。
②ノートやパソコンではなくA4の紙に1件1ページで書く
著者はノートや、京大式B6カード、ポストイットなど色々検討してみたけど、最終的にA4の紙1枚に1件を書くのが一番という結論になったそうです。まずはA4の紙を用意しましょう。
③ゆっくり時間をかけず、1ページを1分以内にさっと書く
キッチンタイマーやストップウォッチなど、時間が図れるものがあれば何でもいいと思います。要するに、速く書きだす習慣を定着させるため、スピードを意識してアウトプットしましょうよ、ということですね。
3.ゼロ秒思考のすごい効果
著者は、あくまでビジネスフィールドで活躍しているので、ほかのネット上の書評なども、ビジネス上の文脈で効果効能が語られることが多いです。「アイデアが出た」「ベストなソリューションを考え付いた」「ビジネスプランを効果的に考えられた」等々が多いようですね。今回、僕が目をつけたのは、そこではなく、ゼロ秒思考で書いて書いて書きまくることで、悩み解消や心の整理に役立てることでした。これが、絶大な効果を発揮します。
①書くことによって悩みが頭の中から紙の上へ吐き出される
思考っていうのは捕まえて記憶しておくことが非常に難しいものです。非常に軽く、形がないのでどこからともなく表れ、スッと消えていきます。意識せずに気を抜いていると、つい2、3秒前に考えていたことすらすぐに忘れてしまい、思考が次々に流れていってしまいますよね。
その点、この方法を使うと、流れてきた思考を片っ端から捕まえることが可能です。頭に思いついたイメージを、「言葉」に逐次変換して、かつそれを紙上に可視化していくプロセスなんですね。
ガンガン書いていく中で、心の中にあった断片的な思考が書きながらだんだん整理されていきます。そして、頭の中にもやもやしていたものが晴れていく=頭の中がリセットされ、ゼロになっていく感覚が得られるのですね。
②感情のはけ口として最高の効果がある
また、この作業は、いらいらしたり落ち込んだり、怒りが止まらなくなるなど、感情が爆発した時こそ、絶大な効果を発揮します。紙にすべてをぶつけることができるんです。一種のサンドバッグ代わりでしょうか?
あっ、自分は今いらいらしてるな?と思ったら、ササッと紙に書きだしてみます。どうせ誰も見ていないので、どんな汚い言葉でも、実際には言えない言葉でもガンガン吐き出してみましょう。負の感情を周りにぶつけるのではなく、紙にぶつけて浄化する。一種の心を楽にするためのツールである、と言えると思います。
③自分の体験談をシェアします
最近、12年務めた今の会社を辞めるかどうかで、かなり悩みました。結果として2016年5月には無事に退職したのですが、それまでのあいだこの「ゼロ秒思考」でのメソッドが考えを整理し、心を静めるのにかなり役に立ちました。例えば、この間に僕が考え、紙に書きだして整理したこととしては、
- 会社を辞めたら、果たして食べていけるんだろうか
- 退職後、やりたいことが見つかるんだろうか
- そもそもなんでやめたいんだろうか
- 老後までのキャリアプランはどうしようか
本当にいろいろなことが頭には浮かんでは消え・・・といった感じです。そこで、これをとにかく書いて書いて書きだしまくりました。下手したら、毎日ほとんど同じことを書いていたかもしれません。
ただ、こうして繰り返し書いていくことで、徐々に心が整理されて、心がスッとゼロクリアされていく感覚が確かにありました。
著書のまえがきに、ゼロ秒思考とは、「考えを深め、心を整理する効果的な方法」とあった理由が、身をもって腑に落ちました。
4.ゼロ秒思考の弱点と改良ポイントとは・・・
誰でも簡単にできて効果も高いメソッドですが、一つだけ弱点があります。
それは、会社の仕事中や、カフェや電車内などでは少し難しいということです。例えば、今あなたが、何の前触れもなくいきなりA4の紙の束を取り出して、ガガガガッと一心不乱に何かを書きだしたら、周りは確実に引きますよね?また、目立つので他人から好機の目で覗かれてしまいます。
また、僕の家は東京都心のウサギ小屋ですので、なんだかんだ言って、紙で書いたものを取っておくスペースがありません。これ、やっているとわかりますがすごい勢いでA4用紙がガンガンたまっていきます。
5、カスタマイズしたやり方
よって、かるびの場合、著者オリジナルのA4の紙だけでなく、デジタルツールも併用することにしました。パソコン上では、テキストエディタ「秀丸エディタ」や「Evernote」上でがつがつ書きなぐり、通勤途中や移動中はスマホの「Evernote」などでガンガン書きなぐることにしました。趣旨から外れなければ、自己流である程度応用するのもありなのかな、と思います。
6.おすすめの応用法
「ゼロ秒思考」は書きなぐるだけでもかなり効果は出るのですが、もう1点踏み込んで後処理をしておくと、飛躍的に生産性が上がります。思いつくままに書き散らかしたA4用紙上の思考のランダムな束は、そのままの形ではデータベースのローデータみたいなもので、後から見返した際に、視認性が悪いのです。ヘタしたら、何が書いてあるのかわからず、何を意図して書いたのか思い出せなくなっているでしょう。
だから、自分の頭の中から取り出した生のアイデアや考えは、きちんとまとめておくべきである、ということです。
書きなぐったデータをざっと見返してみて、マーカーでアンダーラインを引いておくとか、リスト形式のToDoListやマインドマップなど別紙にまとめていく。この作業を併せて最後にやっておくと、後日見返した際に非常に便利です。
7、他の人のエントリも参考になります
この書評を書く前に、はてなだけでもいくつか秀逸なエントリを見つけましたので、紹介しておきます。二つとも超おすすめ!
学生ながらWeb技術やブログのクオリティが非常に高いYukihyさん(id:ftmaccho)のエントリー。ご自身のキャリアを上手くデジタルも併用して活用されています。
なんと半年間も実践したというid:douteisotsugyouさん。実際にご自身が書かれた手書きのA4用紙を公開されています。
ちなみに、赤羽氏ですが、実際にWebスクールで教えている教材があります。お試しで5分だけ無料で見れるハイライトに、実際にスクールの生徒さんが書きなぐっているシーンがありました。もしよかったらこちらどうぞ。
最後に、本も紹介しますね。